目的
シリコンとシリコーンの違いを説明する
経緯
故障した液晶テレビを調査し液晶ドライバー基盤が故障の原因であると判明したが直せないから捨てると決めた場合に、捨てる前に最終手段として”シリコーンKF96”を故障基盤に含侵させて経年劣化により発生しているであろう迷走電流の除去を行い直すという動画を見た。
”シリコーンKF96”に興味を持ち購入しようと思ったがシリコンスプレーは持っている。そこで何が違うのか調べていた所”シリコン”と”シリコーン”が違う事に今更気が付いた。こんな根本的な事を知らなかったなんて自分自身残念だったが知らないものは仕様がない。違いを備忘録として残す事にした。
結論
シリコンとシリコーンは別物
<シリコン>
IC等に半導体として利用されている。天然シリコンは存在しないのでケイ石等の自然物を精製し純度を99.999999999%まで上げ使用している。
<シリコーン>
ケイ素を含む高分子化合物で絶縁性が高く、無機と有機の両方の特性を合わせ持つ高機能素材の為工業製品に多用されている。(シリコーンの事をシリコンと呼んだりもするので誤解を招いている)
シリコンとは
ケイ素(英:Silicon):元素番号14の半導体である。非金属であるが圧力(静水圧)を加えると構造相転移しβスズ構造ケイ素=金属となる。
電子の通り道に入っている電子の数の違いである
http://www.ml.seikei.ac.jp/biolab/lecture/Circuit/PDF/11.semiconductor.pdf
天然ケイ素(シリコン)は存在しないためケイ石(SiO2)等の自然物を精製・精錬し純度を高めた品を使用している
半導体材料用シリコンについて
自然物から精錬
①自然の中にあるシリコンは、酸素やアルミニウム、マグネシウムなどと結びついているため、シリコン元素の抽出には精錬が必要です。なかでも、IC(集積回路)などの半導体に使われるシリコンでは、半導体に使われるシリコンでは、「99.999999999%」(イレブン・ナイン)という「超高純度の単結晶構造」が要求されるため、抽出後に各種の製造工程を経て精製されます。
②シリコンの精錬には大量の電力が必要なため、日本では、電力の比較的安価なオーストラリアや中国、ブラジルなどから精錬された純度98%以上の金属シリコン(インゴット)として輸入しています。
金属シリコン
↓(精留)
多結晶シリコン(99.999999999%)
↓(単結晶引上)
単結晶シリコン
↓(ウエハー加工)
ウエハー
↓(特殊加工)
IC・太陽光パネル等に利用
シリコーンとは
特性
「シリコーン」は化学的に安定で、酸化分解されにくく、人体への毒性がほとんどないものです。シリコン樹脂の食器が電子レンジに使用されることからわかるように、電気絶縁性が高く、誘電率が低く、紫外線や放射線にもある程度耐えられるという夢のような材料です
(いいものはいい!抜粋)
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下図(信越シリコーンHP抜粋)
シャンプー・リンス
セロハンテープなどのコーチング材
車のコーキング材
豊胸等のジェルパック
●固形シリコーン製品
ゴム
LED
衝撃吸収材αゲル
ラップ
シリカゲル
シリコンウェア
(キングパーツHP抜粋)
感想
”シリコーンKF96”も”シリコンスプレー”もシリコーンを利用した製品であり両方とも絶縁性は高いという事になる事が分かった。
これで”シリコーンKF96”を購入せず”シリコーンスプレー”で代用できると思っていたのだがそれでは別の故障が発生する恐れがある事を知った。(参考動画2で非常にわかりやすい説明をしてくれている)
まず基盤を含侵させるにはスプレーでは量が少なすぎる為掛け捲る必要が出てくる。スプレーガスの温度がかなり低いので、掛け捲ると基盤上で結露が発生し水分による別の故障が発生する恐れがある。なので液体シリコーンの塗布による含侵が望ましいとの事。
だから、スプレーをボトルにまずは移して液体化させてから塗布する事にした。
参考HP
参考動画
兎に角参考になる素晴らしい動画でした。勿論企業HPも技術に裏打ちされた情報で間違いありません。良質な情報が簡単に手に入るいい時代だ。
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