状況
プレイステーション3(PS3)のYLODリフロー修理を見ていたら、今更ながらPS3が欲しくなり、ハードオフで1,100円のYLODらしき初期型PS3を早速買ってきた。
購入時、初期型・中期型・後期型がある事すら知らず、買ってきた初期型が爆熱の電気食いお化けだと知らなかった。(PS2ができると思って買ったができないCECHH00モデルだった…)
リフロー修理をすべく色々調べるとどうやら一時的に直るだけで根本的にはCell・RSXのダイのプロセスルールが大きいのとエアフローが確保され切れていないので爆熱となりYLODが頻発する事を理解した。
そこで最終発売のCECH-4300を中古購入する事を考えるも、やれチープだ、やれ機能削除だ、やれ映像規制モデルだとあるのでちゃんと調べて選定する事にした。
比較検討
機種 (CECH) |
発売 | 電源 容量 |
Game 電力 |
重量 | Cell | RSX | 大まかな変更点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
初 期 |
A00 (B00) |
2006 | 380W | 197W | 5kg | 90nm | 90nm | PS2が出来る |
H00 L00 |
2007 2008 |
280W | 158W 130W |
4.4kg | 65nm | 90nm 65nm |
PS2削除、Cellが65nmに変更 RSXが65nmに変更 |
|
中 期 |
2000 | 2009 | 250W | 107W | 3.2kg | 45nm | 65nm | 主電源削除、Cellが45nmに変更 イジェクト等ボタン式に変更 |
2100 2500 |
2010 | 230W | 83W 80W |
3kg | 40nm | RSXが40nmに変更(YLODほぼ収束) 消費電力が数ワット削減 |
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3000 | 2011 | 200W | 79W | 2.6kg | イジェクト・LAN等ランプ削除 アナログ出力規制 |
|||
後 期 |
4000 4200 4300 |
2012 2013 2014 |
190W | 78W 75W 75W |
2.1kg | 40nm 28nm 28nm |
BDドライブがスライド式に変更 AACSに準拠,RSXが28nmに変更 ストレージアクセスランプの削除 |
上表より1期3年で3期9年のビジネスであった事が分かった。2009~2011年頃が全盛期で2010年まではデザインや機能重視。2011年以降は買い替え需要とライトユーザーの取り込みを図るべく価格重視へと徐々に舵を切っている。
<ゲーム時電流と電源負荷率と電気代>
機種 | 発売 | 電源 容量 |
Game 電力 |
Game 電流 |
負荷率 | 1時間の 電気代 |
365時間 の電気代 |
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---|---|---|---|---|---|---|---|---|
初 期 |
CECHA00 | 2006 | 380W | 197W | 16A | 52% | 5.9円 | 2,200円 |
CECHH00 CECHL00 |
2007 2008 |
280W | 158W 130W |
13A 11A |
52% | 4.7円 3.9円 |
1,700円 1,400円 |
|
中 期 |
CECH-2000 | 2009 | 250W | 107W | 9A | 52% | 3.2円 | 1.200円 |
CECH-2100 CECH-2500 |
2010 | 230W | 83W 80W |
7A 7A |
36% 35% |
2.5円 2.4円 |
910円 880円 |
|
CECH-3000 | 2011 | 200W | 79W | 7A | 40% | 2.4円 | 870円 | |
後 期 |
CECH-4000 CECH-4200 CECH-4300 |
2012 2013 2014 |
190W | 78W 75W 75W |
7A 6A 6A |
41% 39% 39% |
2.3円 2.3円 2.3円 |
850円 820円 820円 |
※1kWh=30円とした場合
電源負荷率は力率の観点から40~45%が望ましいのでCECH-2100以降が良いだろう。電流値・電気代もCECH-2100以降が望ましいだろう。日本の電圧は100V。他国は110~220V。電圧が低いので力率が少し悪く、電源において熱を持ちやすいという事になるだろう。でも、そもそもエアフローが悪すぎるので本体の体積を兎に角大きくする必要がそもそもあるだろう。まぁ熱故障すべくして熱故障するという事だ。
世界出荷台数8740万台、日本販売台数1000万台。シェア率11%なので11%なりの対応であったとも言える。
<選定>
CECH-2000までは爆電力からの爆熱の為YLOD等の問題があるようで選定から外した。そして、CECH-3000以降は省エネ+機能削減の廉価版なので選定から外した。
<CECH-2100 or CECH-2500?>
CECH-2100が発売され、4か月後にCECH-2500が発売。PS3の全盛期という事もありCECH-2500の出荷台数が多く中古市場価値はCECH-2500の方が低い。CECH-2100とCECH-2500に性能差は殆どなく、中古を購入するのであればCECH-2500で良いのではないかと考えた。
検討結果
バランスを考えるとCECH-2500が良いと思う。
でも、正直、最新のCECH-4300が良いとも思っている…
選択
●熱対策必須で電気代は非常に高いが、ザPS3感満載でPS1・2・3ができる⇒初期型CECHA00・CECHB00
PS3感を保ち機能と性能のバランス重視⇒中期型CECH-2100・CECH-2500
PS3感は薄いが軽量・省エネ・高性能⇒後期型CECH-4200・CECH-4300
YLOD問題
<YLOD問題について>
PS3のCell・RSXのダイとヒートスプレッタ間の導通材はYouTubeやブログの殻割りを見るとサーマルグリス方式が使われている。YLODの発生は高熱(膨張)・冷却(収縮)を繰り返す事による通称グリスバーガー問題が起こっていると考えられる。
<YLOD問題についての私見>
まずCellだがCECH-2000から45nmにシュリンクされ、これ以降シュリンクされる事が無かった事を考えるとCellによるYLOD問題はCECH-2000以降起こりにくくなったと考えられる。だからCECH-2000のRSXは65nmが問題であり、CECH-2100からRSXが40nmにシュリンクされた事によりYLOD問題が最小化されたと推測した。(CECH-2100以降とて廃熱問題を放置するとYLOD問題はある程度起こる事が想像される)
<ソルダリングではなくサーマルグリスを採用した理由の考察>
①ソルダリングはダイに直接はんだ付けできない為”チタン・ニッケル・バナジウム・金など”による保護層が必要になるがコスト高となる
②ソルダリングは、熱に強いがダイに対して密着度が高いはんだでは、経年によるはんだの変形がダイにダメージを与える為サーマルグリスよりも結果ダイの寿命を短くする
上記によりサーマルグリスの方が耐久性があると判断したと思われる。この経緯はintel CPUがサーマルグリスを頑なに採用してきた理由と同様である。
(参考資料:”ちもろぐ”さんのブログの「13. ソルダリングとグリス【グリスバーガーの実情】」より)
参考資料
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